薄く化粧を施せば、いざ戦場へ。
ステージの上で踊る華奢な姿は、全てが男だ。
その一員である俺に、いや俺だけではない、この中の殆どが女装趣味などない。
金の為。そうやって割り切れば何でも出来る気がする事を学んだのはいつだったか。
そして、それが歪んだ形で崩されたのは。
未だ女装の魅力に目覚めたわけではないが、この格好の所為で性癖を発見した。
俺は、バイらしい。
関係者出入り口の扉を開けると、廊下に生温い空気が流れ込んできた。
考えてみればそれほど暑いわけではないだろうに、建物の中が快適な所為での錯覚だ。
「あちぃ……」
無意識に零れた声が霧散した。
「可愛すぎるぞ、この野郎」
「出た」
仮にも恋人に向って嫌そうな顔をするなんて変な話だ。
駐車場に向って歩く道すがら、衣装が露出度高いだの媚売ったような顔を作るだの、醜い嫉妬を吐露された。
「お兄さん、心配っ」
「何がお兄さんだ。親父の嫉妬は痛いぞ」
このイケメンフェイスで30歳なのが本当に信じられない。
そして、この外見の割に中身が子供なのも信じられない。もう慣れたが。
「つか、誰が好き好んで男と付き合うかっつの」
「おぇっ…!!」
今のは汚物を口から吐き出した音ではない。そこのところ宜しく。30歳が喜びの声を上げたのだ。
「なんで喜んでんだよ」
「お前が『あなただから愛してる』って言ってくれたからだよー!超遠まわしだったけど」
途中から言いたいことが分かってしまったので、殴ってやった。畜生、顔が赤くなってしまった。
誰が好き好んで男と付き合うか。本当にそうだ。お前だから、なんて言ってやるつもりはないけども。
きっと伝わっている、そう信じたい。
テーマ:自作BL小説 - ジャンル:小説・文学
- 2008/09/05(金) 23:56:26|
- 短編小説
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銀魂25巻発売しているらしいっ……。買いに行っちゃるけぇ、待ってろよー!
―――――
どうも人が嫌がる目覚ましの音は美香には効果がないらしい。
鳴った記憶がないのに、何時の間にかスイッチは切られ、時刻は予定を1時間オーバーしていた。
この時間では、パンを咥えて玄関を飛び出した処でどうなるものでもない事は分かっているのだが、
担任を始め、今や生徒の間にまで浸透した『遅刻魔』のあだ名を思い出すと、足に力が入るのは仕方が無い。
運動が好きではないために普段授業外で体を動かさない所為か、少し走っただけで息切れしてしまった。
それでも酸素を求める体を鞭打って駅までの道のりを走り続ける。その角を曲がれば駅が見える――……
バンッという音と共に、左腕から衝撃が伝わる。その直後に右の尻が硬い地面にぶつかる痛み。
「あっ、大丈夫ですか!?」
この低音は、美香のものではない。とても焦った声が聞こえるが、痛みで瞑った目を開けられない。
「大丈夫…です」
痛いと言って色々と厄介になるよりも、大丈夫と言って後で自分で処置をする方が面倒臭くない。
骨が折れたとか、そういった鎮痛よりも打撲のような鈍痛なので、大丈夫だろう。
「いや…でもっ…」
そこでやっと目を開ける。美香を覗き込むようにして中腰で立っていたのは、同じ学校の男子の制服を着た長身の男だった。
この人、知ってる……。 見た途端にそう思った。
彼は上川という男で、美香の一つ上の学年だ。
友人からよく聞く名前で、曰く、王子様フェイスに頭もいい、スタイルもいい、スポーツ万能、性格も申し分無いのだとか。
とにかく、一校に一人はいる『王子様』なのだ……友人曰く。
厄介な人とぶつかったな、と思った。この事実を知れば、密かにある上川ファンクラブの女に目をつけられる。
綺麗な顔を歪ませて心配そうにしている上川をボーっと見つめながら思った。
「あなたは、同じ学校ですよね?」
内容よりも、口調に微笑んでしまった。モテモテなのだから調子に乗って馴れ馴れしい様な態度でも取るのかと思いきや、
先輩に話し掛ける後輩のような口調なのだ。
「一緒に学校に行きませんか?保健室までつれて行きます。それまで打った所とか痛いと思いますけど、ちょっと我慢してくださいね」
未だ路上にへたり込んで、周りの視線を集める美香の手を取ると、優しく立たせた。
「あっ、大丈夫です、本当にっ」
彼と一緒に学校に行きたくないわけではなくて、その時に厄介な女共に見られたらと思うと気が気ではないのだ。
それでも優しく握られているのに離せない手を引かれて、ゆっくりだが着実に駅に連れて行かれている。
負けず、包まれている大きな手を剥そうとしていると、突如上川は立ち止まった。
「そんなに嫌ですか?俺と行くのは」
「え…っ、別にそういうわけじゃ……」
ゆっくりと振り向いた顔は傷ついたような、困ったようなそれで、美香は戸惑った。
「あの……学校に着いたら、もう先に教室行ってください」
それまでは一緒にいても大丈夫だろう。美香も騒ぎこそしないが、よく名前を聞く川上が少し気になる。
「何でですか?」
「えーっと……他の女子が…」
口ごもると、ああ、と上川は苦笑した。一応自覚はあるようだ。
「でも、俺があなたを突き飛ばしちゃったんだしなあ……」
そんなのお互い様だと思う。きっと上川も遅刻しそうだったんだろうし、美香も同じ身で脇目も振らず走っていたのだ。
「じゃあ、すいませんけど一人で保健室行ってもらえますか?もし何かあったら、ここにメールしてください」
どこから出したのか、紙に携帯アドレスを書くと美香の手に握らせて、再び歩き始めた。歩調がゆっくりなため
きっと学校までは一緒に行くつもりなのだろう。
……いいんだろうか。こんなに簡単に王子のアドレスを手に入れてしまって。
美香は、そんな場違いな事を考えていた。
終始歩いたためか、学校には余裕で遅刻したが保健室で少し事情を説明しておいた。
太ももの辺り等に紫色の痣が出来、咄嗟についた掌を小石で切っていたが、その他は大事はなかった。
片手に持った綺麗なブロック文字で書かれた上川のアドレスを見つめ、もう片手で自らの携帯を弄ぶ。
意を決したような顔を作ると、美香は携帯を開き新規メール作成を始めた。
『こんにちは。今朝ぶつかってしまってすいませんでした。
学校に着いて、保健室へ行ったけれど、何も異常はありませんでした。
本当にご迷惑おかけしました。』
送るかどうか迷ったが、少しは気にかけているだろうし送る事に決めた。
送信ボタンを押し、携帯を閉じる。
顔には自然と、笑みが浮かんでいた。
―――――
超自己満。
ありきたりすぎて、逆に珍しくない?ここまで忠実なの←
この後美香は川上と結構メールのやりとりをして、最終的に付き合います。
書くのが面倒なので省りゃk(殴
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- 2008/09/04(木) 23:37:07|
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